Live in(2)
By マナミ様

狭い部屋に。1人で居るとツマラナイことばかり考えてしまって。
何だか・・・居たたまれなくて。逃げるように部屋から出て中庭に寝転んで。
"別れ"を・・・無理やり信じ込んで。
―もう期待なんてしない
痛い嘘は。心を切裂くと知っているから。
 

「悟浄」
呼ばれた名前と、それを発したであろうよく知っている人物に驚いて。
慌てて起き上がると
「三・・・蔵・・・?」
声が震えたのに気付いた。気付かれも・・・しただろう。
「話がある」
「んだよ・・・そんな、改まって」
―"別れ"を
「三仏神への報告が終わったら・・・」
―望んでなんてない
「一緒に暮らさないか?」
あいつの声が震えていた。喋りだしてみたら笑えもしねぇ・・・俺もじゃねぇか。
"別れ"をつげられたら、と。自分の中にも不安なんてモンがあったんだな。
「・・・な・・に、言ってんの?」
呆然と座り込んでいる悟浄に近づいて、抱きしめて。もう一度言う。
「一緒に暮らそう」
「だ・・・って!三蔵は・・・寺院に居るんだろ?ダメだって・・・俺なんか」
"別れ"なんて望んじゃいないのに。
―逃げてんの?  オクビョウダナ
「安心しろ。あんな処にあんな奴らに。おまえに触れさせてたまるか」
いつもの舌打ち。
 

あぁ、ヤバイ。
俺ってば・・・涙出そうだよ。
 

 

 

「本当はもっと早く言おうと思っていたんだがな。オマエを寺院で暮らさせない
ということになると、オマエを1人にさせる時間が多くなるからな・・・」
抱きしめたまま低く囁く声。
三蔵らしくもなく、俺のことで悩んでくれた。それだけでもう充分なのに。
「本当に・・・良いのかよ?」
痛い嘘になれた心は。新しいものを信じるのに慣れてなくて。
「言ってるだろうが。手離してたまるか」
―この愛しい存在
「でも・・・悟空は・・・?」
「アイツは八戒と暮らす。了承はとった・・・むしろ喜んでたがな・・・」
「悩んでた割にやること早いのな・・・」
なんだか三蔵らしいと思いながら少し笑う。
「当たり前だろうが。オマエをどこに住まわせるか悩んでただけで、離れることなんざ最初から選択肢に入れてねぇからな」
「何か・・・夢みたいで実感ねぇや・・・」
本当に。夢見ていたから。
そう言ってハハ・・・と少し渇いた笑いで言う。
「実感・・・持たせてやろうか・・・?」
「へ?・・っん!」
降ってきたキス。
触れた指先。
その全てが。諦めてきたもの全てもうどうでもいいくらいに好きで、好きで。
何より大切で。
 

 

 

「良かったですねぇ、やっと上手く気持ちも言えたみたいですし?」
「オウ、サンキュ・・・」
―やっぱ八戒は・・・
「でもいくら一緒に暮らすからって昨晩みたいに毎日やってると、体壊しますよ〜♪」
「っっっ?!!!」
 

―最強だ。
 

 

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