悟浄の御褒美欲しさか、三蔵は昨日からちゃんと仕事に行っている。
その間一人で家にいる悟浄は掃除、洗濯などの家事をこなしていた。
最近は慣れてきたからか早く終わるようになり、のんびりと過ごせる時間が増えた。
「ふぅ〜終わったぁ」
今日も家事を全てやり終え、寝室のベッドに倒れ込んだ。
時計の秒針音が子守り歌の代りになり、悟浄の眠気を誘う。
『ピ〜ンポ〜ン』
「あ??」
現実に引き戻すかのように鳴り響いたチャイムに応えるため、
欠伸をしながら玄関のドアを開けた。
「はぁ〜い、どちら様ですかぁ???」
「こんにちは〜v私、『ヒーリングラブ』という会社の営業を担当しています鈴と申しますv」
ドアの前にはスーツをしっかり着込んだ一人の男が立っていた。
内ポケットから名刺を取り出し悟浄に手渡す。
「えっと…失礼ですが…奥様ですか??」
「奥様…ってゆーか…まぁ…」
男が奥様っていうのはどうかと思ったが、実際自分は三蔵の奥さんみたいなモノなので違和感を覚えながらも応えた。
「そうですかvお綺麗な方なのでそうだと思いましたv…旦那様は…いらっしゃいますか??」
男は部屋の奥を伺うように中を覗き込んでくる。
「仕事ですけど…」
「お仕事ですかぁv大変ですねぇvあ、それでですね今我が社でこういったモノの訪問販売をしているんですよv」
玄関に腰を下ろした男は持っていた黒い鞄を開き、中から小さな瓶を取り出した。
その瓶を悟浄の前に次々と並べていく。
「夜の夫婦生活がマンネリしている方の為、我が社が独自に作っている媚薬ですv」
「媚薬…」
目の前の瓶には果物の絵と何やら英語が書いてあった。
「どうですか??旦那さんとの夜の生活は??満足してます???」
「…しすぎてます」
実際、毎晩毎晩三蔵に鳴かされてる悟浄はもう少し抑えてほしいと前々から言っていた。
「あら、旦那さんがんばってるんですねvそんな旦那さんをもっと喜ばせてあげませんか??
奥様が乱れれば旦那さんも…v今なら媚薬3点セットで一万円ですv」
まるで昔拾った親友を思わせる笑顔で商品を勧めてくる。
「いや…ほんといいです…」
見るからに妖しい瓶を遠ざけながら、悟浄は一応笑みを浮かべた。
これが自分の欲しい商品だったとしても、悟浄が自由に使えるお金は無かった。
お金の管理をしているのは自分なのだが、三蔵に聞いてから使うようにしているのだ。
「そうですか…ではこのお試し用をどうぞv無料で配ってるのでv」
男は懲りずに別の瓶を悟浄の前に置く。
さっきのと比べて一回り小さい瓶にも同じように果物の絵と英語が書いてある。
「香りは何がいいですか???桃、苺、レモンの三種類の中から選んで下さいv」
「…じゃあ…桃で…」
本当はいらなかったのだが、早く帰ってほしかったのでとりあえず貰い、
後でこっそり捨てようと思った。
「桃ですねv桃は…こういう匂いなんですよv」
「!!??」
男は瓶の蓋を開け、悟浄に向けて媚薬を吹きかけた。
瓶からして液体の媚薬だと思っていたのだが、スプレー式のだったらしく、油断していた悟浄はもろに吸い込んでしまった。
「てめ…っ」
急激に体から力が抜け、その場に倒れ込んだ。
「いや〜vよく効きますねvこっちも試してみましょうかv」
今度は液体の媚薬を取り出し、自分の口に含みそのまま悟浄に口付けた。
「んぅ…っふ」
力の入らない体では抵抗することもできなく、されるがまま液体を飲み込んでしまう。
「げほっ…っ、!?ひゃあぁ!」
首筋を舐められただけで、体を痺れるような感覚が走る。
「感度いいですねぇv薬のせいだけじゃないみたいだv」
そう言いながら悟浄の服を脱がし、胸の突起を舌で卑らしく舐め回す。
「やぁ…んぁ…っ」
「慣らさなくても入りそうですね…」
「っ!!!!」
片足を肩に担ぎ、一気に悟浄の中に押し入った。
あまりの痛さに声も出ず、悟浄は唇を噛締めて目を瞑った。
「痛…っあ」
「はぁ、すごい気持ち良いですよ、貴方の中」
深紅の髪を手に取り、口付けながら囁く。
いつも聞く三蔵の声と違うモノ、違う匂い、自分の性欲処理のためだけの行為。
流れる涙を優しく拭う舌も、自分を気遣う甘い声も何も無く、ただ中を激しく掻き回される。
「助け…さん…ぉ」
「旦那さんはお仕事中なんでしょう?まだ帰ってきませんよ…っ」
休むことなく悟浄を突き上げ、満足そうな笑みを向ける。
「あぁ…もうイきそうだ…っ、女性じゃないから中に出しても平気ですよねv」
「嫌ぁ!やだっ…やめ」
逃げようと暴れる悟浄の腰を掴み激しく動かす。
「や…っ嫌…やぁああああああっ!!!!」
「ってゆう夢を見たんですよ」
八戒はお茶を啜りながら三蔵に笑顔を向けた。
「…テメェ…勝手に夢の中で悟浄を強姦してんじゃねぇ!!!!」
三蔵はおもいっきり机を叩きながら立ち上がった。
なぜ八戒がいるかと言うと・・・
久しぶりに悟空と遊びに来たので、四人で食事をすることになった。
料理は八戒が作るので、材料の買い出しを悟浄と悟空が任された。
待っている間、八戒が三蔵に大事な話があるというので聞いてみると、
先程の変な訪問販売員に襲われる悟浄の話…というか妄想だった。
「僕が襲ったわけじゃないですよ」
心外だなぁ、というような顔をして溜息を吐く。
「だったら何でテメェみたいなムカツクしゃべり方してんだ、その男は…ああ?(怒り)」
「あははvそうでした?v」
八戒のその態度に益々眉間に皺が寄り、額には青筋が浮かんでいる。
そんな三蔵を落ち着かせるように八戒が真面目な声で話し始めた。
「とにかく、今そーゆう訪問販売が増えてるのは事実です。貴方が仕事でお寺に行ってる間、悟浄に気をつけるよう言っておかないと。」
「…うるせぇ」
その言葉に今度は八戒がカチンときた。
「…人が心配してるのに…いいですよ、好きにして下さい(冷笑)」
「…………」
その後、買い出しから帰ってきた悟浄に小さな声で明日から寺に付いてくるよう、説得する三蔵様を八戒は料理を作りながらしっかりと見ていた。
「〜夏祭編〜」に続く… |