悟浄ちゃんは奥様v〜お買い物編〜

By ユキ様

「ん〜良い天気v」
白いシャツに黒のパンツといったラフな格好の悟浄は大きく背伸びを
しながらスーパーまでの道のりを軽快に歩く。
その横を少し不貞腐れ気味の三蔵が上下黒の服で歩いている。
 

なぜ不貞腐れているのかと言うと、先程着替え途中の悟浄を襲ったら、どこから出したのか三蔵愛用のハリセンでおもいきり叩かれたのである。
 

「三蔵…まだ怒ってんの?」
あまりにも機嫌が良くない三蔵に悟浄は困った顔をした。
「怒ってない」
悟浄を抱き寄せて頬に軽く口付けると安心したように笑う。
二人が住む家から街一番のスーパーまでは歩いて20分ほどである。
散歩も兼ねた買い物を悟浄はとても気に入っていた。
「こうやって散歩すんのも良いよねぇv」
「そうだな」
 

もうすぐ街に出る、といった所で三蔵はサングラスと帽子を身に付けた。
寺の側にある街なので三蔵の事を知らない者はいない。
別に買い物に来るぐらい誰も何も言わない、逆に歓迎するのだが三蔵は
それを嫌がり変装をするのだ。
悟浄としてはお気に入りの紫電の瞳や金の髪が見れないので残念なのだが
本人が歓迎されるのを嫌がるのなら仕方ない、と諦めていた。
 

しかし三蔵が変装する理由は他にあった。
それは人前で堂々と悟浄とイチャつけるからである。
自分の存在がバレると騒ぎになる、その中で悟浄に手を出すともの凄く嫌がるのだ。
 

変装をしてからも悟浄は人前でベタベタするのを嫌がったが、最近は少し怒るくらいで問題はない。全ては三蔵の計画的犯行だったのだ。
 

 

スーパーに着いた二人は早速買い物を始める。
「えっと、卵と味噌…それから…あ!」
「どうした?」
「ねぇ三蔵、コレ買ってもいい?」
その場にしゃがみ込んでいた悟浄が上目遣いで三蔵を見上げてくる。
「コレさ、ゆで卵作る時に入れると色で固さがわかるんだって〜」
子供のような笑顔で悟浄が手に持っているのは猫の形をしていた。
他にも犬やウサギの形をしたものが置いてある。
「…必要なのか?」
「…駄目?」
首を少し傾げ三蔵を見つめる。
「…買っていいぞ」
「わ〜いvじゃあ…紫の猫にしよ〜v」
悟浄が好んで自分の瞳と同じ色のモノを選ぶのはとても気分が良かった。
三蔵は自然と緩んだ口許をどうにか戻す。
 

 

「夕飯は何作ろうかなぁ〜」
ウロウロと店の中を歩きながら献立を考える。
「肉じゃが…カレイの煮付、あと野菜を何か…って三蔵?」
隣りにいたはずの三蔵が少し離れた場所で何かを手にとって見ていた。
「三蔵?あ、それ!おいしいんだよねぇ〜vその酒v」
「夜一杯やるか?」
「うんv」
 

 

会計を終わらせ、買った物を袋に詰めていると嫌な視線を感じて三蔵は振り返った。
 

そこには二人の店員がいてこっちを見て何か話している。
店員は二人とも男。きっと悟浄を気に入ったのだろう。
三蔵が知る限りではこの店の男店員はみんな悟浄の魅力にやられている。
嫌でも目を引く紅い髪と瞳、それに整った顔立ち、そして綺麗な体。
本人に自覚がないので無防備な仕草が余計に惹かれる。
「悟浄…」
不意に名前を呼ばれた悟浄は手の動きを止めて三蔵を見る。
しかし三蔵は名前を呼んだだけで何も言わない。
「///」
ただサングラス越しに見つめてくる三蔵の行動を理解したのか悟浄は顔を赤くした。
 

「こ、ここで?///」
「嫌か?」
 

三蔵が名前を呼んでただ見つめてくる時…それは『キスをしろ』という合図であった。
「わ、わかったよ…///」
少し回りを見渡し誰も見てない事を確認して、自分の唇を三蔵の唇にあてた。
「終わり///か、帰ろっ!///」
早足で店を出ていく悟浄の後ろで、三蔵はこっちを見ていた店員に
勝ち誇った笑みを向け出ていった。
 

 

                                     「酔っぱらい編」に続く・・・