カーテンの隙間から射し込む光が顔を照らす。
重い瞼をほんの少し開くと目の前が黄金に包まれた。
「ん…」
隣りで自分を抱き締めるようにして三蔵が眠っている。
綺麗な紫電の瞳は瞼で隠れているが、整った顔立ちは変わらない。
「さて…と」
ゆっくりと腕の中から抜け出すと、近くに脱ぎ捨ててある服を軽く身に纏い部屋を出る。
リビングのカーテンを開け、コーヒーを入れるためキッチンに向かう。
自分専用のカップに出来立てのコーヒーを注ぐと、炊飯器が軽快な音を鳴らした。
「お、炊けた」
杓文字を片手に蓋を開けると真っ白い湯気が立つ。切るように混ぜまた蓋をして蒸らす。
壁に掛けてある黒のエプロンを着け、朝食の準備に取り掛かった。
そのころ寝室では三蔵がシーツに手を滑らせていた。
毎朝こうして悟浄の姿を探すのだが、自分が起きるころには既に朝食の準備をしている。
目を覚ました時、隣りに悟浄がいないのは不満なのだが、キッチンで朝食を作ってる悟浄も捨て難いのだ。
そんな事を考えながらジーパンを履き、悟浄のいるキッチンに向かう。
部屋を出ると、すぐいい匂いがした。キッチンで鍋と格闘してる悟浄の姿が見える。
自然と頬が緩む。そんな自分に気付いたのか悟浄が振り返った。
「おはよ、三蔵」
「ああ」
三蔵は悟浄を後ろから抱き締め頬に口付ける。
「もう少しで出来るから待ってて」
三蔵を椅子に座らせ、コーヒーを入れて差し出す。
コーヒーを飲みながら新聞に目を通す、これが朝食が出来るまでの三蔵に過ごし方だった。
「出来たv三蔵、出来たよ〜」
その呼びかけに読んでいた新聞から視線を移すと、炊き立てのご飯、焼き立ての魚等が、並べられている。
「いただきます」
「召し上がれv…おいしい?」
「ああ、美味い」
悟浄は三蔵の返答に満足すると自分も食べ始めた。
「ねぇ、三蔵」
朝食の片づけや洗濯も全て終わらせ、三蔵の横に腰掛ける。
「俺買い物に行くけど、三蔵どうする?」
「買い物?」
隣りに座った悟浄の肩を抱き寄せ、深紅の髪に口付ける。
「うん。卵も味噌も切れちゃってさ。あと洗濯洗剤」
「荷物持ちで付いてってやる」
「ありがとv」
着替えてくるね、と言い三蔵の頬に唇をあてた。
「…俺が付いていかねぇと大変な事になるからな…」
三蔵と暮らし始めた悟浄は急激に色香が増した。
以前、一人で買い物に行かせた時何人もの男に声を掛けられたらしい。
それを聞いた三蔵は、買い物に付いていくようになったのだ。
「自覚ねぇからな…」
苦笑しながら、着替えの最中であろう寝室のドアを開け中に入った。
「〜買い物編〜」に続く
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